KTC ブレーキブリーダーATBX70I購入とエア抜き作業の実践

KTC ブレーキブリーダーATBX70I

さて、車検時期なのでそろそろブレーキフルードの交換を行わなくてはなりません。

通常ならブレーキをダフッて交換しますが、最近はABSは勿論、自動ブレーキが付いているので、それでは抜けきらない恐れ(所説有り)もあるので、ここはいっちょ圧送交換用ツールでも手に入れましょうかという事にした。

実は、以前から圧送ではなく、負圧式で行っていたが、動画で紹介する通り、ニップルからのエア混入が多いので、フルード自体は抜けているので交換という意味では出来ているが、エア抜き自体は出来ているのか不信に思ってしまう。

以前から使用中の真空引きタイプのブレーキフルードエキストラクタ動画。

そこで色々調べていると、KTCさんがブレーキブリーダー(ABX70)なるものを発売されている事を知り、購入の検討に入った。

買いますか?

ABX70は定価で114,000円となっていて、この価格では業者さんレベルの価格だが、色々なサイトを見てみると安ければ5万弱の価格となっている。

さらに、トライアルセットとして本体+ABX70-A2という、トヨタ、日産等の汎用性の高いアタッチメントセットで販売されている「ATBX70I」が最安値では5万弱で販売されている。

非常に悩ましい価格。一回限りの為にこれを買うのであれば、ディーラに1万位払った方が、当然安い。だが、将来性と作業効率性を考えるとこれも悪くは無い選択肢になる。

幸いな事に、自分の車はこのトライアルセットに付属のアダプターに適合するので、いっちょやったろかという事で購入した。

開封の儀式

定価の約半額とはいえ、高いですよ。買ってから罪悪感というか背徳感というか、複雑な気持ちの中、まぁ、それでもわくわくしながら開封をする。

アングル見切れ&斜めですいません。動画が慣れてないもんで・・・・。

重い。流石KTCさんの製品です。しっかりしていて、きめ細かな梱包と製品になっているのが判る。どこ製かわからない激安製品とは一味も二味も違うのである。

・・・よく見たら、ツールボックスが写真のとは少し違うね。まぁ、その辺りはご愛敬。

駄菓子菓子。難点もあったり。

動作が判り難い。

説明書を見るのだが要点が判り辛い。兎に角実際にテストをしてみないと、どう動くのかが判らない。なので、ブレーキフルードを1リッタ買い、飛び散っても大丈夫な状況でテストしてみた。

テストで判った大事な事

  1. フルードは残り200CCで出なくなる。
  2. レバーはフルードの開閉コックではなく、コンプレッサ圧力の切替えコックであり、フルードの出入りには直接関係ない。
  3. アタッチメントにホースを接続すると強制的に「開」になり、本体に残圧があるとフルードは流出する。
  4. ドレンボルトはフルードのドレンではなく、コンプレッサ側のドレンである。

この類の説明が無い。というかあったとしても判り難い。

2,3を理解していなかったので、テスト中、レバーをどの位置にしてもどんどん溢れ出るフルードに何が起こっているのかわからず呆然としてしまった。

このブリーダのレバー位置による実際の動作を挙げてみる。

レバーの意味

レバーには加圧、中立、排気の3つのポジションがある。加圧は直感的にわかるのだが、中立と排気がどのように動くのかが理解しがたい。

これを理解する前に、構造を理解する必要がある。

動画にとって見たのだが、私の動画にセンスが無いのか上手く表現できなかったので、画像で説明したいと思う。

圧送(加圧)

この状態がエア抜き作業をする状態。当たりまえといえば当たりまえの挙動。

エア圧によってポンプ室が加圧され、ブレーキフルードがリザーブタンクへと送り込まれる。この圧はレギュレターで0.3MPaに調整されている。ここで理解すべきは、ホースとアダプタが接続されている状態では、そこのバルブは「開」になっているという事。私に言わせれば、「圧送」よりも「加圧」が適切じゃないかと思う。

中立

中立とは、エア圧が遮断されている事を意味する。なので、エア圧は遮断されているが、ポンプ室に圧がある場合はそのままフルードタンクを圧縮し続けるので、フルードは吐出される。中立にあるからフルードが出ない事は無いのでここに注意が必要。なので、中立というよりも、エアバルブを閉じているだけという意味になる。テストで流れ続けたのはこの状態だった。

排気

一番良くわからない場所。ポンプ室を待機開放する意味。なので、フルードタンク内にあるバネがポンプ室を加圧し、ポンプ室の空気を排気する。同時に、フルード室が拡張するので、アダプタとホースをつないだ状態(コネクタ開)だと、エアかフルードが逆流する。ただし、これはコネクタ開の状態での話で、ホースとアダプタを切り離し、コネクタ閉の状態では吸えない為、何も行らない事に注意する。

実にややこしい。

前述したが、エア圧とアダプタコネクタを接続しているかしていないかで挙動が変わる。しっかりと頭に入れておかないと、エンジンルーム内でブレーキフルードをぶちまいてしまう。これは絶対に避けないといけない。

暴発回避策

一番の肝は、コネクタの接続切断で吐出の有りなしを決めている所。非常に危ないと感じた私は、コネクタ付近にバルブを追加してみた。

フィンガ弁 ポート径 8Φmm[PHV8BD]

所謂、FA用ワンタッチ継手を利用。これにインサートリング(内径6Φmm[WR0860])を付けて剛性をアップ。チューブが内径6㎜、外径8㎜で、FA用と思われる固めのチューブだったので、多分いけるんじゃね?と考えてチョイスしたところ、ばっちりでした。勿論液漏れもなし。

これで、アダプタを接続し、通常は吐出状態でも、バルブを閉じる事で流出を簡単に止める事ができる。なにより、見た目でどうなっているかが一目瞭然なので安全だ。
(ただ、これが裏目に出る事もあり(後述))

懸念点

圧送でエア抜きがかなりの効率アップが計れる事が期待されるが、その反面、不安になる事もある。

それは、マスターシリンダリザーブタンクの剛性である。このアダプタをリザーブタンクに装着し、エアが漏れないように固定する必要がある。エアがもれないようにするにはそれ相応の力が必要なのは言うまでもない。他のブログ記事を読むと、タンクが変形したという事例もあるようで、どれだけの力で締め込めば漏れないのかわからない。かといって強くしすぎると変形しないか?それが一番の心配事だった。

びびりな私は、じゃぁ同じマスターシリンダを買ってテストしてやろうじゃないかと考える。

駄菓子菓子。(本日2回目)

結構なお値段がする。大体2万前後。うむむ。ぶっつけ本番でやるかと諦めかけていた所、某オークションでなんと送料込みで2千円台で販売されているものを発見!!

これは本当に嬉しかった。車種と型番は違うのだが、恐らくは同じ系統のリザーブタンク。これじゃ!と早速落札してみてみたら、マスターシリンダの形状は少し違うが、リザーブタンクは全く同じ。やたっ!通常は万は下らない商品なので値段がちょっと信じられなかったが、出品者に感謝。

これでテストは勿論、その後に考えているあんなことやこんな事が出来る(笑)ので久しぶりに良い買い物が出来たのである。

早速これに、アダプターをとりつけてみる。

結果から言うと、剛性には全く問題無かった。

このアダプターは冒頭で紹介した通り「ABX70-A2」であり、口径が32~45Φに対応している。取付には、流石にスッとは行かない。爪が結構固いのだ。

ゴム部の締め付けボルトと爪の締め付けボルトを緩め、爪を広げながらブレーキフルード投入口に差し込む。口径は37Φなので丁度いいサイズ。奥まで差し込むと、まずは爪を淵に引っ掛け、それからゴムを口に密着するべく締め込む。この力加減が一番肝心なところ。表現が難しいくトルク表現ができれば良いのだが、その術がないのでどうしようもない。たとえて表現すると、灯油タンクのキャップを締める位の力。・・・かな。これも人によって違うからなんともだが、力いっぱい締めると当然タンク側が変形するので、簡単に言うと手で締めて止まる所。決してオイルフィルター並みの力ではないという事。そのゴムの密閉力は結構良いのという事を付け加えておきましょう。

爪も遊びが出ない程度の締め込みでOK。かなり爪の剛性は高いので、爪が正常に掛かっていれば、圧を掛けて飛び出す事は無いと思われる。

いざ実践

準備は整った。本体には暴発しても良いように十分な養生を施し、車体側のリザーブから底が表れない程度にフルードを抜き、新フルードを半分程度入れてやる。そしてアダプターを車体に装着する。テストの通り、問題なく装着。

ブレーキフルードを2リッター用意し、ブリーダにぶっこむ。説明書の通りエア抜きをし、バルブを中立にしてから本体のアダプターに接続。

※この動画はメーカーのHOWTOビデオ

この際、独自に追加したバルブは閉じたまま。普通ならここで吐出が始まっている。

ブリーダのバルブを「圧送」にし、追加のバルブを開けてやる。すると0.3MPaに釣り合うまでリザーブにフルードが充填されていく。フルードはリザーブタンクの7,8割まで上がった所で止まった。これでフルード交換準備が整った。

抜く順序は整備士によってやり方が諸説あるので割愛するが、吐出量としてはかなりゆっくりだといっておく。500ccタンクが一杯になるには5~10分位は要するのではないかと思われる位少しずつ出てくる。ブリーダの緩め方が弱いのか?しかし、あまり緩めすぎるのも良くはない。

最近のブレーキシステムはかなりセンシティブなので圧送には通常より力が要るのだと思われる。その為、ブレーキフルードもDOT4プラス、もしくはDOT5.1等の超低粘度のフルードが求められる。ABSだけとか、それもついていない昔ながらのソリッドなブレーキシステムであれば結構早く抜けると思う。

全ての車輪で作業を行い、残りが500cc位になった所で止めた。このブリーダは残り200ccでなぜか止まってしまうので、余裕をもってこのぐらいで止めておいた。それでもフルード交換は完了できた。

最後の最後で暴発

何とフルード交換がかできたと安堵し、説明書の通り、レバーを排気にして残圧を排気し、アダプターからコネクターを外した所、

「バシュッツ!」

と暴発。

うおっつ!と元に戻すが少しフルードがエンジンルームとボンネット裏に飛び散った。

原因は、作業が終わって吐出を止める為に追加で装着したバルブを閉にしていたからだ。ブリーダ本体は排圧が完了しているが、バルブを閉じている為、車体側の残圧が残ったままだった。あ、メーカがここにバルブを付けなかったのはこれを懸念したのか?とその時理解する。しかし、付けなければ付けなければで流出を止められないし、困ったもんだなと頭をかかえる。幸い、養生をしっかりしていたので、大した被害には至らなかったが、やはり一度は失敗しないと駄目なんだろうなと思う。そして二年後にはその失敗あ忘却の彼方で、同じ失敗を繰り返すと・・・。次の車検時にはこのブログを見直して同じ失敗はしないようにしたい。

考察

準備は大変だが、なにより、二人で大声だして「はい流して~、ダフッて~、もぉっか~い。おっけ~。」の一連のやり取りをしなくて良く、且つ、確実に交換とエア抜きが出来るのはありがたい。また、マスターシリンダを必要以上に動かし、寿命を縮めることも防げる。だが、この流量で本当にキャリパ側のエアが抜けるのか?と疑問には思う。レギュレータを操作して少し圧をあげてやれば良いのか。やり方は間違ってないと思うのだが果たして?

一つだけ言いたいのは、説明書が古いのか、アダプタ対応車種リストも古く、そして本体の説明書はあっちゃこっちゃに説明が飛ぶので判り難いという事である。特に私の頭では、バルブの説明が判り難かった。まぁ、プロ仕様だからしょうがないのかな・・・。

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