このコロナ禍に咳喘息を発症してしまう。咳がし難くくて辛い。

気管支辺りが熱く咳が止まらない。

気分が高揚している訳じゃない。ちょうどこのコロナ禍として騒がれてきた3月頃の事。風邪には気をつけなきゃと思っていた夕飯前。なぜか食道の辺りの気管が熱く、咳が出るようになった。よくうがいをしても止まらない。でもいつもの風邪の喉から出る咳ではなく、食道の辺りが熱くなって我慢できなくなって咳が出るといった症状。

今までも激しい運動をした後にたまに出てた事があったが、翌日には治っていたからまたその症状かと安易に考えていたのだが、翌日になっても1週間たっても2週間たっても治らない。

コロナにかかったのか?

やべぇぞこりゃ。1ヵ月経っても治らず、日中、咳がとまらなくなるほど悪化してしまっていた。しかし、そのコロナの症状である高熱や倦怠感、また味覚障害等は無い。

世間では咳をすると周囲から睨まれるような風潮になっていたので、居ても立っても居られず、掛かりつけの病院へ。でも病院にも行きたくない。その気持ちは皆同じだが、やはり周りに迷惑をかけたくないし、もしコロナだったら会社にも大きな迷惑がかかるので、会社を休んで意を決して受診。

病院に入ると体温は計らされたが、まだ、アクリルの遮蔽版や消毒液等を据え付けていない時期。待合で待っている時間もどうしても咳が止まらない。待合には他の患者さんもいたので、乗ってきた自分の車で待機させてもらう。

いざ診察するが、いつもの「どこにも問題はない」との事で、レントゲンも取らなければ話題のPCR検査のピの字も出ない。出勤しても大丈夫かと問うと、「そんなの会社に聞いてくれ」と冷たく突き放される。なにやら「ずる休みしたい野郎」に対するゾンザイな扱いをうける。

いや、仕事したいけど、会社、世間、身内の事を考えてアドバイスを求めているのだけなのに。医者ってやっぱそんなもん。病院とは、実際の病気を治すだけじゃなく、患者の心も一緒に治すのが仕事なんじゃないのかと。

私も以前は自動車整備工していたが、車だけを直すのではなく、顧客の心も「治して」あげる事がプロだと考えていた。(←偉そうですいません。)

会社には医師に言われた通り報告し、その日は念の為休み、翌日出社。しかし、心なしか疎外感。しょうがないよなぁ。恐らくは俺もそうしてしまうだろう。できれば休みたい。でもそうはいかない。厳しい立場だ。

医者からは咳止めやら小児用咳止め等を貰うが一向に収まる気配なし。ネットで調べると、どうやら咳喘息の症状っぽい。テレビでよく見るスプレー缶のような吸引をすればいいのではと思いつつ、貰った薬を飲む。でもやはり効果は無い。収まる時もあるが酷い時あるという症状に波があり、特に寒い時や雨の湿度の高い時が酷く咳が出る。よく湿度を高くすれば咳は収まるという事を聞くが、何故か逆。

医療従事者の方には悪いのだが、病院に行くのはとても勇気がいる。2週間経っても収まらないのでもう一度受診し、今度はレントゲンを撮ったがコロナ症状である肺炎の影はなし。色々問い詰めると、「まぁ、これはコロナではないでしょう」というお墨付きをやっと貰えた。これで何とか会社にも大手を振って出勤できる。

だが、やはり気管が熱くなるような咳は止まらない。この時期に咳を出すと本当に周りからの視線が辛い。すまんと思いながら咳を抑えて、勿論マスクはちゃんとして、その腕で口をふさぐ等で気を配る。ひどい時は外に出たりして、実は咳よりそっちの気を遣う方が辛い。

喘息ですね

5月になっても全く症状が改善しないのでもう一度受診すると、そりゃおかしいという事になって(早く診断してくれ)近くの総合病院の呼吸器科を紹介された。

大きな病院に行くのはやはり気が引けるので、紹介よりとりあえず喘息の薬でも貰えたらいいのになと思っていたが、こういう時に限ってタイミング良く担当医が居る曜日だったりする。

顔を引きつらせながら、では診てもらいましょう、と総合病院へ。そのころは緊急事態宣言下なので、逆に病院には人が少なく、入り口でフェイスシールド、マスクをした重装備の職員に体温を測られ、手をアルコールで消毒して中に入る。

呼吸器科のその担当医は若い先生だった。このコロナか騒ぎのど真ん中にあたる呼吸器科。みなさん重装備。取り合えず症状を訴え、レントゲンを取ってもらい診断すると、やはり長引いている所から喘息という称号をめでたく与えられる。

ついでに頭痛があったので訴えていた所、頭のレントゲンから副鼻腔炎も診断される。これはもう何年も前からで、治ったり再発したりを繰り返している。

エリプタ製剤、レルベア。

その切望していた喘息用の吸入器と副鼻腔炎用の点鼻薬、それに抗生物質を処方いただく。

その吸入器は、よくテレビや映画で出てくる小さな缶を逆さにして多きなボタンが付いているエアゾール式製剤ではなく小判型もので、上の蓋をスライドさせて開き、そこから粉を吸うようなタイプだった。名前はレルベア200。中身はICS(ステロイド薬)。エリプタがこの吸入器の名称らしい。

アルミの密閉容器に入っており、めくると本体と乾燥材が出てくる。

30と書いてあるのは30回分(約一か月)となる。

あけるとこんな感じ。

これは使い終わったものです。

不謹慎だが、そのテレビで出てくるエアゾール式のものを期待していたのですこし落胆。まぁ、治ればそれでいいのだが。

このタイプは一度テレビでちらっと見た事のあるやつ。でも、やっぱあれじゃない。あのエアゾール吸引機に何故か憧れがあったのは自分でも驚いた。

水色の蓋らしきカバーを本体に沿って下に押し下げる。するとカチッという音と共に本体下部にあるカウンターがひとつ減る。開いた所には、すべすべした灰色プラスチックに小豆位の大きさで楕円形の穴がある。穴の中を見ると気流を整える為か小さな突起があるり、ここから薬剤を吸うのだ。

蓋を開けた側面の片側だけに扇錠のスリットがあいてあり、そのから空気を取り入れるようだ。スリットは7本。こんな小さな穴で呼吸するほどの空気が入るんだなとこれまた驚き。吸引する為に気流を速める為にはすこし狭い方が良いというのは判るが、設計段階でどれだけのテストをしたのか苦労が窺い知れる。

ベルエアを服用する

説明書通りに、息を吐いてから、ハンバーガーでも食べるかの如く加え、肺の奥にまで届かせるように勢いよく吸い、息を4秒間止めてから静かに吐く。

(メーカー吸引方法紹介動画↓)

甘い

私の感覚としては、薬剤を吸っている感覚は全くなく、例えばストローで空気だけを吸っているような感覚。でも、吸った後には、歯の裏に粉のようなものが付いているのが判る。ちゃんと薬剤を吸えている証拠。その味はほんのり甘い。それでいて肺には何の違和感もない。・・・肺の中って甘くなってんのかな(苦笑)

説明書の通り、口をゆすいでうがいをする。不確かではあるが、最初それをしなかったからか、声が出にくくなって困った覚えがある。だた、その声の出難さは半日経ったら直ってた。コロナの心配があったので、人に移さないようにと、人との接触を避け結果、声を出していなかったからかもしれないが。

1週間程吸引を続けていると良くなったり、また再発したりと波があるが、少しずつだが症状が緩和されつつある。あぁ、やっぱり喘息だったんだと、医療ってのは本当にすごいなぁとありがたみを痛いほど感じる。この薬剤は30日分なので切れる前に再受診。レントゲンでは判らない所もあるので今回はCTを取る事にしていた。

・・・

CTとかって高いんだよなぁ。まぁ、MRI程高くはないし、CTは時間もかからないので怖くもない。本当にMRIは苦手だ。今まで何度撮っただろうか。苦手なんだ。あの超電導特有の、古めかしいコンプレッサのような何かの動作音が繰り返し響く異様な雰囲気の部屋。そして大きな機械の真ん中にぽっかり空いたあの狭い穴に体を入れる閉塞感。閉所恐怖症でなくても怖くなる。その状態で工事現場で聞く破砕機のような轟音を長時間、いつ終わるのかわからに状態で身動き一つせずじっと耐えなければならない。10分もたつ頃には叫びたくなる心境。あと何分とか残り時間を教えてくれればまだいいのだが。

間質性肺炎?

さて、さっとCTを取り、その画像で診断してもらうと、肺の下部に間質性肺炎の初期症状がみられるとの事。

かんしつせい?聞いたことあったけど何だっけ?と思ったらコロナにかかった場合の肺炎がそうらしいい。だから聞いたことあったんだ。まだ初期症状であり、横になった時に重力でこう映る場合があるので、様子見。再度検査して進行状況を見ましょうとの事だった。

説明を聞くと、間質性肺炎は難病らしく治療は難しいらしい。ラジオで「一度かかったらその部分は直らない」という事を聞いた事があるが、この事かと。

コロナは高齢者が重篤化するだけで、若者は風邪と一緒で治るのかという話もよく聞くが、肺炎になるとその部分はもう治らないという事を初めて理解する。これにはぞっとする。正直怖い。私なんかの喘息症状でコロナに感染すると一発で重篤化するのだろう。うつすのはもちろん駄目だが、万が一にも感染すると高確率でやばいことになるのだろう。これを知って尚、風邪だぜこんなのとブラジル大統領のようにふるまう事が出来るのは信じられない。自分の体の事だから勝手すればいいが。

症状としては、吸入して1ヵ月目で7割程収まってきた。しかし、気温の低い時や雨降りの湿度が高い日等は症状が再発する。しかし、暖かい日等は症状の事を忘れるぐらいになる。これを繰り返し、グラフで示すと上下はあるが総合的にみるとなだらかな改善傾向を示すような感じだ。

2か月目では9割程改善。でもやはりその気候の時は胸が熱くなり咳が出る。

たまに吸入を忘れる事があるのだが、その日は何もなく、翌日症状が悪化する。これを医師に報告すると、その症状は正解だそうで、薬剤の効能は24時間持続するので翌日症状が悪化することになる。という事はまだ治っていないという事だ。

今、3か月目に突入しているが、気温も30度近辺でこの梅雨や夏の湿気でもそれほど症状が気になる事はなくなった。治っているのか、それとも気温等の環境の所為なのかは不明だ。

吸入薬は2か月分貰っているので、あと1ヵ月試して薬剤が切れ吸入を止めてどうなるかを見る事になっている。治っていてほしい。そしてその頃にはコロナも終息していてほしいものだ。

吸引器の構造

さて、なんでも構造が気になって、幼いころ時計を分解してしまう口の私ですが、この吸入器の構造が気になって仕方がない。

さてこのレルベア。30回、適量の薬剤をセットし、吸入するしないに関わらずもう一度開くと新しい薬剤がセットされるとの事。どうやって適量セットし、その吸わなかった薬剤はどうやって捨てられ、どこに溜まるのかを知りたくなってきた。

私の予測では、こうだ。

カウンターはギア等で比較的簡単に作れるだろう。だが、薬剤をセットするだけなら簡単だが、毎回廃棄しないといけない所がどうなってるのかなと。

実際に使い終わった吸入器を分解してみてみた。(余った薬剤などを吸引すると副作用が出るのでマネしないでください)

まず、どうやったら分解できるのかなと暫く考えて、どう考えても蓋の部分が最後に付けられている構造だったので、まずは蓋を外す。

蓋は恐らくは爪で引っ掛かって閉まっているか開いているかの状態で抜けると判断して、閉まっている状態で根元に爪を外すようにへらを差し込んで上に上げるとビンゴ。

外れました。

あとは、電子機器のように周りからヘラでパキパキと爪を外していくと外れました。

一番右のものが中身。

本体をアップして、カウンターの仕組みはこう。

左右に分かれていると思ったら、流石にコンパクトに考えられてます。そうきたか。ちょっと脱帽。

ダイヤルを外すとこんな感じ。

いやいや、考えられてますね。

裏返すとこう。

真ん中の縦の凸に先ほど外した蓋が嵌るんですね。

という事で、その真ん中のダイヤルが、薬剤のセット・廃棄の引き金となります。

これをまた分解するとこう。

予想を完全に裏切られました。完敗です。(←なにがじゃ)

どうやら、フイルム上のカプセルに薬剤が入っており、それをダイヤルを回すことによって吸入口の近くで封を開くという仕組みになっているようです。

そのフイルムを取り出して平らにしたのがこれ。

上側が蓋の役目のフィルム。下側が実際に薬剤が入っているカプセル状のフィルム。残っている粉をみると白い。・・・やばい薬ちゃないよ。

今は使い終わった状態なので、途中の薬剤をセットしている状態を再現してみました。

上を向いた状態

これではなんのこっちゃ判らんので、逆さまから見たらこう。

真ん中に薬剤フィルムが装填されていて、吸入口の近くで蓋のフィルムを剥がし、それぞれ上下で巻き取られていく仕組み。

その吸入口をアップした画像がこれ。

緑色部分が薬剤が入っているカプセル部分(画像は緑色で着色しています)

左右1つずつのカプセルを開いた状態を作り出し、それを息の力で吸い込む仕組みなんですね。グレープフルーツの薄皮を左右に剥いてそのまま口に運んで食べるようなそんなイメージ?

そして、吸わなくても自動で廃棄されるのは、そのまま巻き取る事で実現させているという事なんだな。つまり、蓋を開ける度に開封したての薬剤が吸入口にセットされ吸引する事ができる。そして吸わなくても自動的にした部分に巻き取られ、下に溜まる(廃棄される)という事。さらにそのカプセルのフィルムを変える事で薬剤、量、回数を調整できる。いやいや、合理的で素晴らしいです。

素晴らしい

更によく作られているのは、その吸入口の構造。分解してだから何なんだと言われそうですが、実はこれを言いたかったんです。

下部分の部品が青い箇所に嵌る

この吸入口の形が複雑で、車のエンジンでいうキャブレター(霧吹き)構造になっていて、吸入した空気と薬剤を混ぜる働きをしている。

この小さな部品。されど部品。これがこの吸引機の一番の肝。

安定して吸引できるようになるには、かなりの時間がかかったんだろうなと思います。おそらくは特許等取れるレベル。いやぁ、薬剤の開発もすごいですが、吸引器の開発、その技術力に私はエールを送りたいと思います。ブラボ~。

全ての部品がこのとおり。

恐らくは多岐に渡る条件を乗り越え、これだけの部品で構成出来、さらに保険適用で数千円で買えるというのは本当に有難い事です。感謝感謝。

世界のコロナ蔓延が早く収束しますように。

追記:2023年10月25日

この喘息が発症してから2年後に、膵炎ではない謎の腹痛が長期にわたって発生し、血液検査で好酸球菌の増加に気が付き、どうやら体の中で何らかのアレルギーが起こっているという事がやっとわかった。

どうやら、この喘息も胸やけも腹痛も、このアレルギーが原因ではないかと予想し、では、食物アレルギーは何が原因かを自分なりに分析してみた。

ネットで調べると、アレルギーは肉も魚も穀物もなんもかもと言うとても大雑把で核心を突かない情報だったので落胆。自分で取捨選択していくしかない。

良く良く考えると、コロナが発症してから、ウイルスに対する免疫力を高めるには大豆発酵製品が良いという事で、大豆製品を多く取り始めたのがこの頃。

特に「きな粉」を多く接収していた。更に、急性膵炎(特発性)が発症した後、カルシュームが必要との事だったのでヨーグルトを取ろうとしたが、甘味料無しでのヨーグルトは厳しい(酸っぱいのが苦手)のできな粉を大量に混ぜて酸っぱさを紛らわせていた。そのころから胸やけ腹痛、やたら咽る症状が発生した事を思い出し、もしかしてと大豆製品(醤油等の発酵製品以外)を控えてみた。

すると、徐々に体調が改善してきて、今までの体の辛さが嘘のようになくなり、声も少しづつ出るようになってきた。今までは、どう大きな声を出そうとしても、かすれて全く聞き取りずらい声になり、周りからは顰蹙を買っていて、仕事がやりにくい状態だった。それがほぼ3年間続いていたので、膀胱の治療も重なって鬱を併発してしまっていた。

今では、体がとても軽く感じるようになり、仕事の辛さが大幅に軽減。普通の体調ってこんなに楽だったんだと思う位。そりゃ、体が鉛のように重く、どこもかしも痛く声も出ない状態だと仕事もできない訳だ。合わせて見た目は全く変わらないので、周りからの理解は難しいから、二重苦三重苦だった。

その時は、自分がそこまで体調が悪いとは判らないので、歯を食いしばってなんとか仕事していたが、今から考えるとよくそんな状態で3年も耐えてきたなと、自分を褒めてあげたい。

兎に角、体の辛さもそうだったが、声がかすれて仕方が無かった。大声を出す勢いで話さないと聞こえないレベルだったので、話すにも汗を掻きながら体力が必要だった。なので、頭も回らないし、正直、話すのが億劫になっていて、対人恐怖症にも繋がっていた。

治ってきた時に、意図せず大声が出たので自分でもびっくりした。声が普通に出るという事もこんなに楽なんだと改めて実感。今は、抗アレルギー体質に体を改善させるべく奮闘している。