膀胱癌が見つかった。(その4、入院手続きと不安による過換気)

診察終了

診察室から出る。心配そうな顔で待合に家内が待っていた。

・・・心配かけてすまない。

手術の説明を家内にも同席して聞いてもらえばよかったのだが、そこまで話が進むとは考えてなかったし、やはり頭が動転していて行動が伴っていない。人間、精神状態によってこうまで変わるものかと。

入院手続きと不安

別室で入院手続きを今度は家内も一緒に進める。その部屋は6畳程度の狭い部屋。そして既に別の1組が入院説明を受けていた。狭い上に簡易のパーティーションがあるだけで、話している内容も筒抜け。態々別室なのにプライバシーはまるでなし。そして、この三蜜を避けなければならない状況なのだが、この狭い部屋で6人も話をしている状態。この病院でクラスタが発生した理由が判る気がする。説明担当の女性も少し乱暴で、常に書類を軽く投げる感じで嫌悪感。この辺りからこの病院への不安が積み重なっていく事になる。

入院を進めるにあたっては、まず「手術や麻酔等の責任は取らないけど良いよね」という念押し書類に署名する。これが結構な数。それから保証人やらの書類にも記入する。

病室はWiFi無し

病室は個室と言う我儘を妻に聞いてもらう。少し高いが短期間の入院と言う事もあってOKをもらった。私はビジネスホテル等で隣の部屋から聞こえてくる他人のいびきだけでも寝られない程神経質で、枕が違うだけでも落ち着いて眠る事が出来ない私。なので多床室はまず無理。というか、今はコロナ禍もあり入院中は面会、付き添いができないので、自称HSP(ハイリーセンシティブパーソン)の私は、痛いの痒いのと煩く言って、その都度ナースコールを呼んで周りに迷惑をかける事になりそうだからだ。そして、かなり寒がりなのでエアコンの自由が利かない大部屋ではかなり辛い思いをするだろう。また、多床室だとテレビはあるがパソコンを持ち込めずWiFiもないらしい。個室だとパソコン持ち込みOKで、有線インターネットは無料で使えるらしい。入院中は仕事も多少はしなくちゃいけないからパソコンは必須。しかし、この時代にWiFiもないのかと思ったり。その辺りにこの病院の気質も感じ取れたりする。実は、その個室にもランクがあり、小さ目の部屋で料金の安いタイプもラインナップされていたが、それはやはり満室だった。

まぁ、旅行じゃないんだから四の五の言ってる場合ではないのだが。

お会計はATMでクレジット支払い

長い入院の説明が終わりやっと会計。書類を会計カウンターに渡すと、すぐにバーコードのついた紙を渡される。会計はすべてATMのような自動支払機で支払うようだった。

病室にWiFiは無いがこの辺りは流石に近代化されている。掲示板がその自動支払機の上に設置されており、そこに番号が表示されると支払い準備が出来た合図となるらしい。普通の病院によくある、処方箋が出来た時に点く仕組みと同じ。機械にそのバーコードを読ませると会計が開始される。ここではクレジットカード払いが出来るので助かる。何より、色々検査したから金額は大台を超えているが、もう頭がマヒしているので高いとか安いとかもわからなくなっている。

過呼吸(過換気)

やれやれと複雑な面持ちで帰宅。一息ついて入院や通勤の事を色々考える。ふと気が付く。膀胱全摘とは、前立腺も取るのか?ということは・・・・、ネットで色々調べてみる。前立腺どころか睾丸も取るらしい。

これはショックである。その不安を引きずりながら寝床に入る。入院まで3週間以上もあるので、その間癌が進行しないのか、進行してたら全摘にならないか等、色々考えると寝付けない。

何とか寝付けても夜中3時頃に目が覚める。目が覚めると尿意と膀胱の違和感が襲ってくる。辛いので息があがる。すると、やはり病状が進行しているんじゃないかと言う恐怖、不安感と、膀胱の違和感から息が荒くなりどんどん息苦しくなる。

昔から過呼吸の気があるので、落ち着かせようとゆっくり息をするが苦しさが治まらない。今度は体がまるで冷水風呂にでも入れられたかの如く寒くなり、体が大きくガタガタと震えだした。

苦しい、寒い、このまま死ぬのか?というな恐怖が襲って更に悪化する。これはやばいと、家内に助けを求めようと這いつくばって部屋の前まで行くが、手も上げられずドアノブにさえ手が届かない。ドアの前で一人息を切らしていると私の気配に気が付いたらしく、起きて来てくれた。

救急車を呼ぶ前に、とりあえず病院に電話して事情を話す。当直担当医は泌尿器科ではないから詳しくは判らないとの事だが、膀胱が原因でその症状は考えにくいから過呼吸ではないかと言われる。うん、それは判るんだけど治まらないんだよというような話をしていたら症状が次第に治まってきた。

過呼吸は一人で悶々としないで、とりあえず誰かと話をすると良いようだ。

もう少しで救急車を呼ぶ所だった。これはもう心療内科の話になるから、退院後、落ち着いてから受診しようと考える。そう思うとその後はなんとか寝る事が出来た。家内には昼間付き添いもしてくれて疲れていただろうに、深夜に起こしてしまって悪い事をした。

体への精神的影響

手術まで1ヵ月近く有るという不安もあったが、他の人もその位の待機日数という事らしい。そう思うと少し気が楽になった。すると痛みも引いてくる。痛い痒いは精神的なものが大きく作用するのだろうか。人間そんなもんか。

だた、気になるのは大腸の方だ。以前から排便時に違和感がある。だが見た限りでは血が付いている感じはない。健康診断でも毎年異常無しだった。ただ、その検尿でも血尿として検査結果が出ていなかった事からあまり当てにはできない。血が出にくいのは俺の体質なのか。

暫く時間があるので病院に相談してみようと思う。実は下痢と便秘を繰り返している。これは大腸がんの初期症状とネットにはある。それに、左足付け肛門近くに引きつるような軽い痛みがあるんだ。

健康診断だけじゃダメ

健康診断をうけているから大丈夫と言うのは、私としては迷信に近いと考える。特に40歳代からは普段から精密検査を受けないといけないという事。バリュームも辛いだけで意味がないという声もちらほら聞こえる。

特に頻尿がある場合は、加齢だからと市販の薬に頼って我慢すると私の様な事になるので、すぐに泌尿科で受診した方が良いと思う。それでも医院によっては誤診も発生するので、症状が治まらない場合は、病院を変える事も考える。そして定期的に胃カメラ、大腸検査をした方が良いのだろう。

でも、やはりというか、なかなか泌尿科は行きにくいし、胃も大腸も内視鏡検査って辛いし、費用もかかって大変なんだよな。

つづく。