BOSE(Companion 2 Series III) ボリュームが勝手に変わる(解決編)

回路考察

何とかこの現象を回避できないか。回路を思い起こすと、気になっていた部分がある。

何故かコンデンサが付いている筈の箇所で付いていない部分がある。まぁ、これは良くある事なのだが、設計段階で仕様変更したか、オプション等の為に予め共通部品として用意されたものなのだが、レギュレターから出力された3.3VがC211と書かれた小さなコンデンサを通って次の回路に流れて行っている。そして、その付いている筈の回路はC212とあり、同じく3.3Vがプラス側に電圧がかかっており、マイナス側はC211のマイナス側とショートしている。ははん。確かこのスピーカーの電源が0.833V(以後後期)で、一世代前の同型(以後前期)の1.2Vから改悪されている。という事は、前期の回路を見てみれば何か後期との差を見つけ出し、解決に結びつくかもしれないと考える。

そして、壊れてても良いからジャンクの同型スピーカーをオークションで手に入れようとするのだが、これまたどうして悉く落札できない。出品はジャンク1,000円から沢山出品されているのだが、大体4,000円近くまで競られてしまう。ジャンクなのに何故?と思いつつ金がないので2,000円位までの予算で競ってみるのだが、やはり高値更新されてしまい、結局どれも落札できなかった。

手に入れるのは諦め、とりあえずコンデンサ付けちゃえってことで、左側にあるコンデンサと同じ「16V 22μF」を増設してみる。

これでどうだ?

最初は良かった。だがやはりボリュームを絞っていくと頻発する。

レギュレターを疑う

コンデンサじゃないという事は電源になる訳で、大元のACアダプタじゃないのなら、基板上の電源発生回路になる。コンデンサを増設する時にふと目に入った、電源元のレギュレター。

78M33C T1 39E ML23

VR200と書いてある。ボルテージレギュレターの略かな。んじゃ、これ替えてみますか。

電流を測ってみると3V強あった。本当に今はネットで何でも分かって買える時代。便利だわ。調べてみるとリニアボルテージレギュレターで出力は3.3V。ボルトは合ってそう。同じ性能で合ったチップ型番はUA78M33CDCYR。チップワンストップさんで手に入るようだった。

スペックも問題無し、価格は@199円程。ただ、送料が1,247円かかるがしょうがない。在庫はラスト3つだったので早速注文する。納期は2週間後だった。この半導体不足に在庫があったのはラッキーだ。

チップが来た

日本企業と言う所がとても安心できる。どうしても海外だと本当に届くのかが心配になるが、この会社は安心できる。今後お世話になることだろう。

たった3つでもちゃんと箱に入って届く。この気配り大事。うん、とっても大事。

ちょっと形状は違うが、機能が同じならOK。

チップを基盤から剥がす

これがまた簡単には剥がれない。私の技術不足なんだろうけど。普通のハンダごてでは外れない。基盤がヒートシンクを兼ねているので、熱がなかなか伝わらない。

チュイーンと削って中を出す

コンデンサのように破壊して外そうとすると基盤まで破損しかねない。足だけを切ったりなんやかんやするが外れない。なので、チップをリュータで半分削って、金属が見えた所でもう一度ハンダごてで加熱してやってやっと取れた。

外したレギュレター外観

やはり裏面は放熱の為か、がっつりハンダ接着面が備わっている。新チップを基盤に乗っけてみる。

足の位置はばっちりなので、早速ハンダ付け。

ちょっと歪んだけど、まぁいいや。

さてさてどうだ?

音はほとんど変わらない。だが、残念ながら現象は解消ぜす再発してしまった。という事は、このレギュレターでもない。

じゃぁなんだ?

ボリュームを疑う(正解)

コメントからも指摘があったボリュームを考えてみる。ガリは出ておらず、触った感じでは何も壊れていない感じがするのだが、もうここしかないだろうとダメ元でやってみる。

ボリュームポット自体を交換したいのは山々なのだが、そのボリューム自体入手ができない。

メーカーはSOUNDWELLで中国のメーカーらしいが、ネット等で探してみても似たボリュームはあるものの、端子が5つのタイプを見つける事ができなかった。レギュレターを注文したチップワンストップさんでも無かった。

2つの端子は、オンオフスイッチ。3つの端子はボリュームポテンショメータ。抵抗は10kと思われる。なので、このボリュームの仕様として、普通はBカーブなのでB10kとなる。

分解、清掃

それじゃぁ清掃注油してみましょうかという事で分解してみる。

特段すり減ったりゴミが溜まっている訳ではなかった。

抵抗体基盤裏面にはBカーブと10kΩを示すB103という文字が印刷されていた。通常はB10Kだが3はキロ(1,000)の略か?

接点復活スプレーで接触面を清掃。

組み上げて、さぁどうだ?

・・・・

駄目でした。

基盤を交換

これは抵抗体が劣化している可能性もあるので、ボリューム自体を変えたいが入手は不可能。色々ネットを徘徊していると、同じメーカーで似たボリュームを中国ウェブモールで発見した。流石地元という感じだ。

A50KとA10Kを選べる。見分け方は、裏面にロゴがあるかないか。ロゴがある方が50K

どうやら、この3端子のポテンショメーター抵抗体基盤だけは同じようなので、ここはひとつこれを入手してこの部分だけをかえてみてはどうかという考えが浮かんだ。

でも、A10Kとあるので恐らくAカーブ。でも物は考えようで、Bカーブは弱音での調整が唐突。そしてこの現象が出るのは弱音で起こる事が多い。そして、普段そんな大きな音を出す事はないので、ここはあえて弱音での調整をしやすいこのAカーブを選択してみよう。その方が劣化しにくいのではないかという希望的予測もしてみる。Bカーブでも検索したが黄緑色で同じような物は有ったが50kしか見つける事ができなかった。

一応、手持ちの10k可変抵抗でテストしてみたのだが、何故か上手く機能せず、鳴らすとボリューム全開と思われる爆音で豪快に鳴ってしまう。やり方が悪いのか原因は分からなかった。

AliExpressで注文

あまり利用したくは無かったが、このサイト。名前こそ聞いた事はあるが、存在しているかもどうかも怪しい棒密林と並ぶ中国の巨大モールアリババグループのウェブショップAliExpress。このサイトは一応日本語に対応しているが、機械翻訳そのままの日本語であり、意味は分かるがいかにもという感じで、ステレオタイプヘイトで申し訳ないが、私にとっては信頼ゼロ。陳列している商品も、なにやら怪しいものから、日本製品を10倍の価格で販売していたり。日本での転売目的の爆買い目的がこの辺りで展開されている事が見て取れる。それだけ日本製品はネームバリューがあるという事なのだろうが、迷惑しているのは日本人でどうなのよそれ。

そんなこんなの不信感満載で注文してみる。勿論、カード決済となるのだが、ペイパルが使えるようなので勿論一択。更にペイパルに登録するカードはプリペイドカードという2段構えで念には念を入れる。

余談だが、以前、iRacingで決済した際、キャンペーンで1ヵ月だけ注文した筈なのに、勝手に自動更新契約とされており、あやうく意図せず割高の1ヵ月更新で支払わされる所だったが、プリペイドだったのでそれを免れたという経緯がある。もし、支払ったが最後、返金はほぼ不可能と思った方が良い。特に期間サービスのサブスク等は使おうが使わまいが料金が発生するからだ。欧米でも危ういというのに、ここではその危険性は申し訳ないが高い。そして、注文しても届くかどうかも疑問である。それは、今までのその国の行いを見て、忘却の彼方という訳にはいかない。

商品は一つ200円しないので、A50KとA10Kの両方を頼んだ。

商品合計301円+送料242円=543円

発注は問題なく済んだが、到着予定はほぼ2か月後となっていた。これは目安なので通常であれば2週間位で届く筈。まぁ、到着しなくても話題にはなるかと半分諦めていた。そして、発注して間もなく上海のコロナによるロックダウンが発生してしまう。これが支障となったのかはは判らないが、結局、待つ事1ヵ月弱で、国際郵便特有の黄色い封筒でポストにぺろっと届いていた。

発送元にはなにやらロシア語のような記述が・・・。もう少し後だったら手に入らなかったかも?

基盤を摘出

上側がオリジナル。下側が今回入手したA10K。勿論端子はひん曲がってた。

入手したポテンショメータは、アナログステレオ用なので、回路が2系統1軸に付いている。BOSEのそれは、理論が良くわからないがデジタル処理されているのか、1系統で済まされている。その中の1回路分を摘出する。

分解するには、まず、ケースの爪を4か所を外す。すると、緑のケースが外れ、そのまま中に連なっている部品が外れてくれるという、簡単な構造になっている。

上がBOSEオリジナル。下がA10K。基盤が1系統余分についている。

取り出した抵抗体基盤も、予測通り同じ形をしている。ただ、裏面にはAカーブとBカーブ、そして抵抗値を識別させる文字A103、B103がそれぞれ刻印されている。

基盤の加工

これでくみ上げれば完成!・・・とおもったらそうは問屋が卸さない。よく見るとケースには突起があり、勘合させるための穴がオリジナルの基盤には開いているが、購入したA103側には開いてなかった。

基盤裏側には「A103」とAカーブと10kを認識させる印刷が入っている。 元の基盤にも写真ではボケて見えないが、B103と印刷されている。そして、基盤下側両端に0.5㎜程度の穴が2つ開けられている。

まぁそのあたりは想定内。以前、腕時計のベルトに穴をあける為の0.5mmのドリルを買っておいたので、これまた最近買ったばかりのドレメルで穴を追加してやろうじゃないか。

穴の位置決めは、基盤を二枚重ねて元の穴をテンプレートにして穴をあける。穴はすんなり開いたが少し穴が小さい。細いドリルビットに持ち替えて穴を広げ、なんとか突起が収まるように加工する事ができた。

改めて抵抗体を見てみる。黒い部分はそんなに劣化が無い様に思えるが、中央部分アースの輪っかのが色がくすんでいるように思える。原因はこの辺りの接触不良なのかもしれない。

完成したところで、元のボリュームに組み付ける。

赤枠が交換した抵抗体基盤と、その他部品。上が完成品。

完成と結果

Aカーブなので、最初音が出ない錯覚に陥ったが、大き目にボリュームを回さないと音は大きくならない。それぐらい弱音の調整が微妙に行えるという事で、以前と比べて大き目に回すと正常に音が出た。音質も元のままで、今の所ちゃんと長時間でも鳴ってくれている。暫く様子見かな。

不具合原因と考察

結局、コンデンサでもなくACアダプタでもなく、レギュレターでもなく、ボリュームコントロールの接触不良が原因と相成った。コメントでアドバイス頂いたカナイさん、どうもありがとうございました。

そもそも、ボリュームの不具合なんだから、ボリュームがおかしいと気が付かなかったのも、今考えてみると不思議ではある。それに、普通ならステレオなのでボリュームポットには抵抗体が2系統付いている筈だが、このBOSEは一つのみ。という事は、実際の音源がこの抵抗を通っている訳ではなく、ボリューム抵抗として一つの制御を行い、後はデジタル的にLRのステレオボリュームを制御していると思われる。だから、もしガリのような不具合があっても音に出なかったのか。というか、このボリューム不具合がその現象の現れだったのかもしれない。

だがしかし、ここまで苦労して直すのは費用対効果というよりも、作業、労働対効果があるのかは疑問だ。私の場合はこういう作業が好きだし、物を大切に使うという持続性の観点からも有意義なものとして私としては大成功であり大満足ではあるが、ここまで苦労するなら新品に買い替えた方が時間の節約になるという方も居られるかと思う。特にスピーカーはそんなに劣化するものではないし、10年20年平気で使える物の筈なので、この良い音がするBOSE製品を是非とも使い続けたかった。

さらに言えば、別にオリジナルのボリュームじゃないと動かないわけではなく、他社で大きさが違っても抵抗値B10Kのボリュームポテンショメーター使って箱に穴をあけたりして取り付け、工夫して直す事でも良いのではないかと思う。そっちの方が味があって私は好きかも。

兎も角、このスピーカー自体が音質を極める為にエンクロージャーを接着して非分解としている所から、修理という概念がない商品。発売時期が違うが、大手メーカーとしてSDGsとしての製品製造はこれからやっていく気があるのだろうかと疑問に思う。単に背広の左胸にドーナツ型のバッチを付けたいが為のやってる感だけの金もうけ政策なんて、本当に無意味で愚かとしか言いようがない。

2022年4月17日追記 良い音

今の所、正常に鳴ってくれている。このスピーカーはやっぱ良い音だ。流石BOSE。

2022年4月29日追記 正常動作を再確認

問題無し。大丈夫みたいだ。素直に嬉しい。

2023年1月7日追記 ミニジャック接触不良

同じような現象に加えノイズ入る現象が出たが、これは裏面ソース入力ミニジャックプラグの接触不良だった。プラグの清掃と、コードの重みでプラグに力が掛からないようにコードの取り回しを改善させることで症状は出なくなった。

2023年9月8日追記 再発、修理

1年と約半年で再発してしまった。このボリュームコントロールが耐久性が無い事は明白。
そんなに早く駄目になるとは思ってなかったからまだポットの選定も何もしてなかった。とにかく、日常に音楽が無いと死んでしまいそうになるので、前回買ったボリュームの在庫から同じ方法で基盤を引っ張り出し装着。

左:旧、右:新
焦点があってないので分かり辛くてすいません。

同じように取り出した基盤は、新品と比べても、やはり筋(赤枠内)が入っており、また、内枠のアース部分も痛んでいる事が見て取れる。なので、この表面だけを復活させるだけでいいと思うのだが、やはりよくあるボリュームガリ復活方法の、清掃して接点復活剤だけでは直らない。アース部分だけでも、その基盤銅部分を復活させてやればいいのか。
今回は、摩耗対策として最初から接点復活剤を潤滑剤として表面に薄く吹いておいた。
そして、もう一度新品をスピーカに組み込んで装着。問題なく音が出た。うんうん。これが壊れない内にボリュームポットを選定して装着しよう。

宜しければ、シェアお願いします。

8件のコメント

素晴らしい!
ボリュームまで分解するなんてチャレンジャーですね!
自分のところは、息子がコンデンサを代えて見ましたが完治しなかったのでもう捨てるというので自分がチャレンジすることにしました。
この記事を見て本当に関心しました。細かいところまで載せてあってとても参考になります。
自分もボリュームを交換してみようと思います。
ところでボリュームを回すとガリガリいう場合は、CRC556をぶっかけると大分よくなります。
このスピーカーの症状は、CRC556では良くなりませんでしたが。ご参考まで。

コメントありがとうございます。
少しでもお役に立てれば幸いです。
ボリュームのガリは永遠の課題ですね。
アドバイスありがとうございます。今度CRCで試してみます。
修理作業頑張ってくださいね。直る事を祈っております。
有難いコメント頂けますと、とても励みになります。
拙いサイトですが、また見て頂けると嬉しいです。

早速のお返事ありがとうございます。

私は糸鋸で爪もバッサリいってしまったので、
パテかバスコークで密封してみようかと思います!

はじめまして。
私のCompanion2 series IIIも2か月くらい前から同じ現象が出ていたので、
対策を検索しているうちにこのページに(比較的簡単に)たどり着きました。
最初から興味深く拝見して、たまたま手元にスイッチ付きB10Kがあったので、
ボリューム交換をしたらあっさりと治りました!
いろいろ試行錯誤していただいたTOMSWORDさんのおかげです。
ありがとうございました。

ちなみに、私は筐体は思い切って糸鋸で切って開きました。
まだ封印はしていませんが、TOMSWORDさんはどうやって接着しましたか?

コメントありがとうございます。
コメント頂けますと、とても励みになります。
無事直ったようで良かったです。

私の筐体はまだ爪がかろうじて残っているので、そのまま嵌めているだけです。
残っている接着剤が効いているのか、そこそこしっかり固定されています。

拙いサイトですが、また見て頂けると嬉しいです。

ボリュームのアドバイスをしたカナイです。
やったー!(今のところ?)直ってよかったです。
以前の仕事では、スピーカーの音を直すために、ボリュームをしょっちゅう替えて、スピーカーの音が直っていたので。
ちなみに、私のcompanion2 Ⅲ(ヤフオクで3台購入)もたまにおかしくなり、コンデンサを買いそろえていて、今日2022年5月22日再び音が気になりだしたので、ページをのぞいてみたのでした。

こんばんわ。
またこのサイトに訪れて頂きありがとうございます。
いや、本当に助かりました。
カナイさんのアドバイスが無ければ、恐らくは迷宮入りでスピーカーは廃棄していたと思います。
今もBOSEで音楽を流しながらタイプしていますが、すこぶる好調です!
重ねてお礼申し上げます。ありがとうございました。
また、何かアドバイスありましたら是非よろしくお願いいたします。

拙いサイトですが、また見て頂けると嬉しいです。
よろしくお願いします。

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