OBDⅡメモリ消失保護用バッテリバックアップアダプタを作成する。

OBDⅡメモリバックアップアダプタ

つい最近、バッテリの交換を行ったのだが、現代の車はメモリセットがいちいち豊富なので、昔のように単純に外して付けるという事が出来ない。出来ない事はないのだが、メモリーを揮発させてしまうと、初期設定やらオートウィンドウのキャリブレーション等を行わないといけないので面倒くさい。

OBD(On Board Diagnostics)2規格は2006年から国産車に義務化されている。その頃から、所謂、弄って面白くない車と言われ始めた。何故なら何をするにも専用の診断機(ダイアグ)が必要となるからだ。日本はそれでも北米から遅れる事10年。EU圏から5年も遅れている。このODB2によってメリットがある事は十分理解しているが、故障コードを見る為に専用の診断機を掛ける事は勿論、エラーの消去だったりリセットだったり作業が増えてしまって面倒くさい。そして、昔の音なり振動なり匂いから不具合を診断するという事が悪い意味で不要になってしまった。その影響で人間が技で直す、チューニング等の介入出来ない部品、部類が増えてしまい、ここが壊れているならその部品丸ごとASSY交換という、安易な整備しかできなくなっている事は既知の事実で、前述したように面白くない車に仕上がってしまっている。繰り返すが、複雑で高度な機能を搭載し制御できる等のメリットがある事重々承知だが、やはり、アナログというか面白味を感じられない、弄りがいの無い車になってしまっている事は悲しいかな事実だ。

閑話休題。

バッテリ交換

先日行ったバッテリ交換時でも、予備のバッテリをコネクターに繋いだ状態にし、バッテリ交換中でもメモリが消えないようにして交換したのだが、至極やり難い。よく考えるとOBD2バックアップという手があったんだと後から思いついた。

最初は勘違いしていたのだが、普通バックアップと言えば、データが消えても復元できるようにデータ自体を別媒体に保存する事だから、その本来の意味のバックアップ装置なのかと大層に考えていたのだが全く違って、OBD2バックアップと言っても電源喪失で単にフラッシュメモリを揮発させないように単純に電源をバックアップさせるものだという物だった。恐らくその類の工具が販売されているだろうと検索すると、あるわあるわ。

しかし、やはりというか国外製品が多く、評価を見てみるとバッテリを逆につないでも通電してしまうような、単純にOBD-II規格アダプターにバッテリコネクタを連結しただけの単純な商品ばかりだ。

大体1,500円前後で買えてしまうのだが、ここはそれ。少し機能を持たせつつフェールセーフを実装したものを自分で作りましょうという事にした。

制作を企画

ベースは、以前OBD2診断機として購入した物をつかう。この診断機、WIFIでiPadなりにつないで専用のアプリで診断するというものだったのだが、全然使えなかった。流石だ。なので工具箱に入れたままにしていたのだが、このコネクタだけは使えるので、この商品を活用する。

ウェブで検索しているとボルトインジゲータというものを付けている方が居たので、それは便利な機能だと共感し、そのアイディアを頂く。

そして、プラスマイナスを逆に繋いでも流れないようにする事と、ショート等で1A以上の電流が流れても車側の回路を保護する為にヒューズを付ける事にした。

先ずは分解

確か、この診断機は数千円で手に入れたもの。分解しようにも、スパッジャーが入る隙間が無い。

なので切る。

切れた所で、接合部分にマイナスドライバーを突っ込んでこじって割るように開いた。

このケースは通常の爪での固定ではなく、4本の柱が相手側ケースに接着されている形で形成されていた。なので、基本分解は不可能。こじって開けてたので、4本の柱のうち1本がおれてしまった。表からは判らないので良しとする。

二階建ての基盤構成となっていた。欲しいのはコネクタ部分なので、基盤はすべて外して処分。

これを元に作っていく。

コネクタ形状と設計

コネクタ形状は問題なし。

裏に出ている端子はこのような形状。

ピンアサインを確認してみたら下図のようになった。

なので、端子1番に12v、6番にシャシーグランド(マイナス)を配線する。

まずは購入したデジタル電圧計。

これを埋め込めるようにケースをカットする為、パッケージを剥がす。

電圧計を組み込む

良さそうな場所をルータでカットして組み込む。自分で言うのもなんだが、作業が相当楽しかったのか、夢中で写真を撮るのをすっかり忘れていた。気が付いたら電圧計は付け終わっていた。

まぁ、ケースを電圧計が嵌るように切り込みを入れ、エポキシ樹脂で固定するだけの単純作業だが、自分で考えた装置になっていくのはとても楽しい。

回路組み立て

さて、ケース側はほぼ準備完了。では、基盤部分を作りましょう。ユニバーサル基盤、管ヒューズ、ヒューズシート、ダイオードを二つ用意。

ケースに合うように柱部分をカットして位置を固定する。

ケースに入りきらない部分は、勿論後で切断。

前述したように、機能としては以下の3点

  1. プラスマイナスを逆に繋いでも電気が流れないようにする。
  2. 1A管ヒューズを実装し、ショート等で異常な電流が流れても車側の回路を保護する。
  3. 正常に接続されバッテリからと車側からの電圧を確認できる。
    プラスマイナス逆、弱電圧だと電圧表示はなし。
    ※車体側からのプラスマイナス等のアサイン間違いは考えられないので、
    フェールセーフ機能は実装しない。

これを図面を起こすと次のようになる。

簡単ら~♪

というか、元々、目で追えないような回路図は私は描けない。恐らくはその道のプロの方から見ると、とてもお粗末な回路図で、余計なダイオードが入っている等の突っ込み満載だとはおもうのだが、まぁ、戯言なので大目に見てやってくだされ。

バッテリコネクタはエーモンのええやつ。といっても500円程。

このクリップ部分は、ターミナルを加えた状態で固定できる高機能付である。これで間違って引っ張っても簡単には外れない訳だ。良いねぇ。

組み立て開始

基盤に部品を組み込む

問題無く動作した。

勿論、機能として実装したプラスマイナス逆にしても電流が車体側には流れず、合わせてインジゲータは光らない。このインジゲータは2.5V以上電圧が無いと動作しないので、単三電池等でテストができない。今回は安定化電源から12vを出力してテスト。だが、コードが長すぎたので抵抗があるのか、13V程度上げないと12V表示にならなかった。この辺りは少し改善ポイントか。

一応この電圧計はボルト数の微調整が出来るので、安定化電源の出力値に合わせて微調整を行った。

完成

切ったケースを接着し、元々のパッケージは、何度も剥がした所為で粘着が悪くなり使えなくなった。その代わりに昔買っていた赤色ステッカーがあったのでそれで少しおめかしして完成。

名付けて、「一寸の虫にも五分の魂 OBDIIメモリーバックアッパー」

なんのこっちゃ。ええ、自己満足ですとも(苦笑)。

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